ねじの回転(下) [恩田陸]

ねじの回転 下
恩田 陸著
amazonでレビューをみる

オンライン書店BK1でレビューをみる


安藤大尉、栗原中尉、そして石原莞爾は、再生プロジェクトの指示のもの、コンピュータ『シンデレラの靴』がつくり出す時間の狭間で「再生」された過去をなぞり歴史を「確定」してゆく作業にとりかかる。だが、3人の胸の内には、異なる決意があった。錯綜する時間、空間、それぞれの思惑。「二・二六事件」という歴史の事実に材をとり、自在な筆致で想像の極限を描くSF長編。(文庫裏表紙より引用)


私の仕事はシステムエンジニアですが、これほど大きなプロジェクトには関わったことが無いですね〜(; ̄ー ̄A アセアセ・・・。しかも、データは時間だというのですから大変です。いくら個人情報保護法が施工されたからといって、これほど慎重に扱わなければならないデータは、他にないでしょう(笑)。

なぜ、こんな話をしてるかというと、この物語が、普段私が仕事でシステムエンジニアとして、もしくはプログラマとしてプロジェクトに参加している時のテスト工程に似てるなと感じたからなんです。確認、確認、検証、検証、そして不一致ならばやり直し。間違いを修正すると他の部分で不一致が発生する。そんなことの繰り返し、でも納期は否応なしに近づいてくる・・・。実際いやになる作業です。

「システム」というものは実態がありません。私はそれを作り上げ、商売の材とし、翻弄され続けているのですが、時々アホらしくなります。

しかしジョンやマツモトやアルベルトは私とは違いましたね。過去へ行き、何が実在し、何が史実で、何が真実か、全てがあいまいにも関わらず、仕事を全うしました。様々な要因が入れ子で幾重にも重なり、確定しようとしているデータには想定できない現象が発生、思い通りには進まない。しかし、決して目標を見失うことはありませんでした。

この作品に登場する技術者は旅を続けました。この作品の最後の一節はこう。
『好奇心という名の、人類に与えられた最強のギフトを享受する旅。そこに正解はない。だが、彼らは試みる。彼らは新たな地平を求め、今また新たな歴史の一ページを作ることを果敢に試みるのだ。』

私が身を置いている世界も進歩の激しい、好奇心が絶えることの無い世界であったはず。納期に追われ、予算に追われ、客の無理難題に腹を立て、そんな毎日であったとしても、それだけではないはず。この業界に足を踏み入れた頃の気持ちが戻ってきました。私の仕事を、未来の新しい発見に繋げることができるのか?私自身が技術者でありつづけたいと改めて感じさせてくれた作品でした。
posted by 玉葱 at 2006年04月01日 | Comment(5) | TrackBack(12) | 恩田 陸
この記事へのコメント
TBありがとうです。
歴史にうとい私にはとっつきにくい作品でしたが、
事実を動かそうとする人たちの思惑がおもしろいと思いました。
Posted by とむぼん at 2006年04月01日 13:10

玉葱さんコメントありがとうございました
ちょっとビックリしちゃいました
こちらこそよろしくおねがいします
実は恩田さんの小説は去年の夏から読み始めたばかりで
著作の多さやその繋がりに驚いています
この本もとても興味深いですね
ところで混乱してしまうといけないので
コメントのリンクは一応livedoorの方にさせて頂きました


Posted by たまねぎ at 2006年04月01日 16:27

玉葱さん、こんにちは。上下巻の TBありがとうございました。
恩田さん作品は、(個人的には)余り SFっぽくないなぁ、、、という印象なのですが、ジャンルものに慣れていない読者にもわかりやすく読みやすく書かれているのが魅力なんだろう、と感じてますw。
Posted by 主婦いちみ at 2006年04月02日 12:42

玉葱さん
こんにちわ!
読み終えられたのですね〜
上下巻ともにTBしていただいてありがとうございます。
確認・検証・修正の作業は実際の仕事としては気の遠くなる作業なんでしょうね。
それに真摯に取り組む登場人物の姿は、すごいと思いました。
Posted by エビノート at 2006年04月02日 19:20

玉葱さん、はじめまして。
TBありがとうございました。
緻密で息が詰まるような感じを玉葱さんの文章を読んでて思い出しました…。
こちらからもTBさせていただきました。
Posted by ノカノカ at 2006年04月03日 10:24

コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL


「ねじの回転」(上・下) 恩田陸
Excerpt: 「ねじの回転」(上・下) 恩田陸 お薦め度:☆☆☆☆ 2006年3月4日讀了
Weblog: 仙丈亭日乘
Tracked: 2006-04-01 01:00

恩田陸「ねじの回転」
Excerpt: 著者: 恩田 陸 タイトル: ねじの回転―FEBRUARY MOMENT この本、アマゾンで買ったんだけど、 封を開けて分厚さにびっくりした。 まぁ「黒と茶の幻想」も厚かったけどね..
Weblog: ひなたぼっこは3時まで
Tracked: 2006-04-01 13:11

ねじの回転 / 恩田陸
Excerpt: 2・26事件を扱った恩田陸さんの歴史ミステリーです 帯 【「不一致。再生を中断せよ。」近未来の国連によって、もう一度歴史をなぞることになった2.26事件の首謀者たち。彼らは国連の意図に反して、か..
Weblog: ★月下精彩★esc.
Tracked: 2006-04-01 13:28

ねじの回転
Excerpt: 恩田陸のねじの回転。 文庫化されている最新の恩田陸作品です(僕は文庫化されないと買わない人なので)。 時間遡行技術が開発された近未来。 人類は過去の悲惨な歴史を消し去ろうと、過去に介入し、歴史を改変..
Weblog: 戦いの向こうに君が待っているから
Tracked: 2006-04-01 14:56

ねじの回転 恩田陸
Excerpt: 恩田陸さんの『ねじの回転』読破。購入してから、2ヶ月?近く放置してました。 『ねじの回転』とは 歴史に「もし」はありえるのか。過去は変えられるのか。。 人類を悲惨な運命から救うべく、歴史を「正しい」..
Weblog: ☆GREEN HEART☆
Tracked: 2006-04-01 20:17

『ねじの回転』 恩田陸
Excerpt: 226事件ものと聞いていたので、ついつい連想したのは宮部みゆきの『蒲生邸事件』。しかしどっちかと言えば、新井素子の『絶句』かも。そっか、私は恩田陸を読んで新井素子を思い出しているから、ラストがどうこう..
Weblog: 気ままな読書日記
Tracked: 2006-04-01 22:29

『ねじの回転』 恩田 陸
Excerpt: いわゆる「SF」や「ファンタジー」は苦手な私。超現実派なもので。 が、自分でもびっくりするような本を買って、読んでしまった。 時間遡行によって、歴史を書き換えてみたものの、人類を破滅させる「奇病」が..
Weblog: 新装開店 スナックことり
Tracked: 2006-04-01 23:50

(書評)ねじの回転
Excerpt: 著者:恩田陸 1936年2月26日。皇道派の将校・安藤、栗原らは、2度目の「二・
Weblog: たこの感想文
Tracked: 2006-04-02 01:11

読了ログ:「ねじの回転」 − 
Excerpt: 「ねじの回転 −February moment」〈上巻〉〈下巻〉 (著:恩田 陸)   私にとって、2作目の恩田作品読了となる。本格 SF長編という前評判もあり、期待 50% UPで作品に臨んだ..
Weblog: 日々是げんじつ
Tracked: 2006-04-02 12:34

ねじの回転〔恩田陸〕
Excerpt: ねじの回転―FEBRUARY MOMENT 「不一致。再生を中断せよ。」 近未来の国連によって、もう一度歴史をなぞることになった2.26事件の首謀者たち。 彼らは国連の意図に反して、かつての..
Weblog: まったり読書日記
Tracked: 2006-04-02 19:07

「ねじの回転-FEBRUARY MOMENT/恩田陸」読了
Excerpt: 図書館でかりてきました。 ねじの回転―FEBRUARY MOMENT 舞台は昭和年に起こった、かの有名な2.26事件。 これ以降日本は軍国主義に傾き、戦争へ突き進むようになる …と..
Weblog: 本を読んだり…
Tracked: 2006-04-03 10:13

『ねじの回転(上下)』 恩田陸(集英社文庫)
Excerpt: 画像は文庫版上巻。 あらすじは以下。 近未来。時間遡行装置の開発により過去に介入した国連。だが歴史を捻じ曲げたことによって人類絶滅の危機を招いてしまう。この危機を回避するための方法として、国連は「歴..
Weblog: ぺーじをくりぐり
Tracked: 2006-04-11 00:13
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。