殺人症候群 [貫井徳郎]

殺人症候群 殺人症候群

著者:貫井徳郎
出版社:双葉社
本体価格:952円
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警察庁内には、捜査課が表立って動けない事件を処理する特殊チームが存在した。そのリーダーである環敬吾は、部下の原田柾一郎、武藤隆、倉持真栄に、一見無関係と見える複数の殺人事件の繋がりを探るように命じる。「大切な人を殺した相手に復讐するのは悪か?」「この世の正義とは何か?」という大きなテーマと抜群のエンターテイメント性を融合させた怒涛のノンストップ1100枚!(文庫裏表紙より引用)

「失踪症候群」「誘拐症候群」に続く症候群シリーズの完結編です。1作目、2作目と巻数を追うごとに質があがってきてますね。症候群シリーズでは間違いなく最高傑作でしょう。

この物語は警察が表立って動けない事件を外部組織である特殊チームが事件の真相を探求していきます。手段を選ばず事件を探る特殊チームのメンバーはどこからが悪なのかの線引きに葛藤します。正義のために法を犯す自分と犯人の何が違うのだろうと・・・それぞれのメンバーの想いや犯人の想いが交錯しながら物語は進んでいきます。


貫井さんの作品の特徴として、社会的な問題をテーマにしつつもその是非を明言しないところがあります。それゆえにいつも考えさせられてしまいます。

今作品では「正義とは何か?」というのが一つのテーマとなっています。
法では裁くことのできない人間を裁くのは悪か?
大切な人を殺した相手に復讐することは悪か?
大切な人を守るために他人を犠牲にすることは悪か?

理屈では悪と分かっていることでも、自分がその立場に立ったらどうだろうと考えると、この物語と同じように罪を犯すかもしれません。それほどの辛い状況、悲しい状況、切羽詰まった状況が切々と描かれていて、いたたまれない気持ちになります。法律で決まっているから、もしくは、世間ではそういうことになっているから、と善悪の判断基準を当事者の気持ちとは関係ないところで社会により決められてしまうところにやりきれなさが残ります。

「移植」「少年法」「被害者の人権」など難しいテーマですが、貫井さんならではの描き方で、読みきった後でも読者に考え続けさせるような良い作品でした。

posted by 玉葱 at 2005年08月30日 | Comment(0) | TrackBack(1) | 貫井 徳郎
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(書評)殺人症候群
Excerpt: 著者:貫井徳郎 警視庁の捜査課が表立って動けない事件処理をする特殊チームの活躍を
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Tracked: 2005-08-30 07:03
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