天使の屍 [貫井徳郎]

天使の屍 天使の屍

著者:貫井徳郎
出版社:角川書店
本体価格:571円
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思慮深かった中学二年の息子・優馬がマンションから飛び降り、自殺を遂げた。動機を見出せなかった父親の青木は、真相を追うべく、同級生たちに話を聞き始めるが・・・。《子供の論理》を身にまとい、決して本心を明かさない子供たち。そして、さらに同級生が一人、また一人とビルから身を投げた。「14歳」という年代特有の不可解な少年の世界心理をあぶり出し、衝撃の真相へと読者を導く、気鋭による力作長編ミステリー!(文庫裏表紙より引用)

最近では少年少女の自殺などといっても、あまり驚かなくなってきているように思います。ニュースでも大きく取り上げられることは少なく、たとえニュースで耳にしたとしても誰もが対岸の火事のようにまるで自分とは関係ないといった様に気に留めることは少ないでしょう。

私も漏れなくそうでした。私が高校生の時、同級生が自殺しました。その方とは同じクラスになったことがなく話したことはありませんでした。顔を思い出すことすらできません。その頃私は受験間近で気に留めている余裕はありませんでしたし、そのことを深く考えたことすらありませんでした。身近で人が亡くなってもまるで気に留めませんでしたし、自殺の理由も噂を耳にしただけで本当かどうかも分かりません。

私はこの作品を読みその頃のことを思い出しました。学校での職員室の慌ただしさとは関係なく生徒が皆結構冷静なところは、あの時のことを思い出しても、まさにその通りだったなと思います。


この物語は父親が息子の自殺の原因を追っていくといったストーリーで、驚かされる真相が用意されていますが、私は、ストーリーそのものよりも、子供を失った親の気持ちに深く考えさせられました。真相を知りたいと切に願う父親、寝込んでしまう母親、その辛さがひしひしと伝わり、居た堪れない気持ちになります。

あの時、もしかしたら私にも何かできることがあったのかもしれない。あの時、少しでもご両親の気持ちを考えていたら、なにか役にたてることがあったのかもしれない。あの時この作品に出会っていればと思うと残念でなりません。

自殺というものが頻繁に起きてしまうような時代だとしても、人一人が死ぬということは、決して軽率に考えてはいけない。それは時代や年代など関係なく、死を考えることが生を考えることに繋がるのだと、そのように考えさせられました。
posted by 玉葱 at 2005年09月04日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 貫井 徳郎
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