ネクロポリス(下) [恩田陸]

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死者が現われる土地――V.ファーで起こる連続殺人、そして「ヒガン」という不可思議な儀式。東洋と西洋、過去と現在、生と死、あらゆる境界線が揺らぐ世界観を、いまだかつてないスケールで描き、ミステリーとファンタジーの融合を果たした恩田陸の最高傑作! 本屋大賞&吉川英治新人文学賞W受賞『夜のピクニック』、直木賞候補作『ユージニア』につづき、さらなる新境地に挑んだ渾身の1600枚!(朝日新聞社より引用)


素敵な世界へと連れて行ってくれた上巻でしたが、下巻に入るとやや恐ろしい世界へと変わっていきます。提灯行列の実施、百物語の実施、過去と現在の融合、血塗れジャックの存在。

不思議な出来事というのは、実は日常的に起きているのではないかと思いました。作品の中にもありますように、子供の頃にコックリさんや迷い家を経験された方は結構いるんじゃないかなと思います。ただ、きちんと説明ができないため、夢であったかのように思い込み、記憶の片隅に追いやられてしまうのではないかと・・・。かく言う私も子供の頃にコックリさんに驚き、今ではたどり着くことが出来ない秘密基地でよく遊んでいました。

作中にプラシーボ効果の説明があります。「本当は効き目がなくとも、これはよく効く薬なのだと信じていれば、多大な効果が生まれる。しかし、いったん薬の効果に疑問を感じたら魔法は解けてしまう。」コックリさんや迷い家もそうなんじゃないかと思います。合理的に説明できないことに疑問を感じてしまったら効果はなくなる。だから、大人になると、コックリさんは返事をしてくれず、迷い家にも出会わなくなるのかもしれませんね。しかし、子供の頃遊んだ秘密基地は確かに存在した。私の記憶にしっかりとある。

そんな、言葉にすると嘘臭いことでも、なんとな〜く現実味ある世界にしてしまっているのがこの作品。怖くても、少し懐かしい気持ちになるような世界。文化人類学を専攻する大学院生ジュンをはじめ、グレイ博士、シノダ教授により、不可思議な出来事にそれぞれの見解が述べられていき、まったくの空想では終わらせません。まさに恩田陸さんならではですね。

ミステリー、ファンタジー、ホラーが共存し、めまぐるしく次々と事件が起きるこの作品。恩田ワールド全開といったところでしょうか。先日、祖父が亡くなったばかりというのもあり、ずいぶんと深入りしてしまい、祖父が出てくるのではないかと変なこと考えてたりしました。とても心地よい世界でした。

posted by 玉葱 at 2005年11月09日 | Comment(6) | TrackBack(10) | 恩田 陸
この記事へのコメント
こんばんは
TB有難うございます。ふっと何処かに連れて行かれるような不思議な世界、好いですね。私からもTBさせて頂きます。dより
Posted by dawn at 2005年11月09日 23:23

こんばんわ。TBありがとうございます。
こちらからも送りますねー。
ホントに色んなジャンルが共存していましたが
結構まとまってましたよね。
私は大好きです。
おじいさんがひょっこりでてきてくれる、と
思うと怖くないし、むしろ出逢いたいですよね。
と思っちゃう感じです。
Posted by minori at 2005年11月10日 18:51

>dawnさん
恩田さんの不思議な世界にはいつも魅了されています。でも、恩田さんの作品には、モデルになってる小説があることが多いですよね。今回のネクロポリスは、モデルにした作品があるのかな〜。

>minoriさん
ほんとに今回は盛りだくさんでしたね。めまぐるしく展開するので、思考が追いつけなくなりそうでしたwそれでも、なんとなくまとめてしまうのは、さすがですね〜。
Posted by 玉葱 at 2005年11月10日 20:53

> めまぐるしく次々と事件が起きるこの作品

下巻の途中、この残りページで終わるのだろうか?と少し心配になりました。でも読後、上手過ぎてずるーい♪さすが恩田氏!! と思いました(笑)。そして、まだまだ表紙を見つめては余韻を楽しんでいます。ほんと恩田ワールド全開でしたねー。TBありがとうございました。
Posted by bamse at 2005年11月10日 22:47

>bamseさん
表紙、ほんとに素敵ですよね。余韻に浸りたい気持ちよく分かります。読み終わってしまったことに少し寂しく感じました。
Posted by 玉葱 at 2005年11月24日 23:25

恩田さんの本は、どの本も、どうもラストがスッキリしない感があります。
この本もそうでしたが、これが恩田ワールドなんでしょうか?(笑)
TBさせていただきました。
Posted by ゆう at 2005年11月25日 09:56

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